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グラシアンの本を、ふたたび眺める [学ぶ]

スペインの哲学者、バルタザール・グラシアンの箴言集は愛読書のひとつだ。
オルテガ・イ・ガセットなど、スペインには著名な哲学者が多い。
そして、どこか肌合いが合う気がしている。

書棚にはグラシアンの訳本が全部で3種あるけれど、
野田恭子さんの訳本が穏やかで素直な感じで、しかも強い文章であり、好きだ。

グラシアンはイエズス会の修道士でもあったが、修道院内に敵がいたらしくて、
ずいぶんとその嫌がらせに苦労したらしい。なので、箴言の中には、
降りかかる火の粉をいかにかわすかという実用的な(?)言葉も多い。

『穏やかに長生きする』という章がある。
「長生きをするためには穏やかに生きることだ。
穏やかに生きていくためには、人の人生に
干渉しないようにすればいい。
穏やかな人は、ただ生きるだけでなく、
人生を自分のものにする。
・・・
そういう人は満ち足りているので、
自分に関係ないことはまったく関知しない。
何でもやたらと気にすることほど、
ばかばかしいことはない。
自分に関係のないことで心を悩ませるのは、
自分に関係あるだいじなことに無関心なのと
同じくらい愚かなことなのである。」

B・グラシアン『賢く生きる知恵』
野田恭子訳 P.253

この言葉を読んで、ふと感じるのは、
人生の残り時間のことだ。
まだまだ人生があると思っていても、
あっという間に終わりはやってくるだろうと思う。
長くてもあと20年という時間しか与えられていない。
だから無駄なことには関わりたくないという気持ちが
次第に強固になった。

自分がこれから成し遂げたいことは何か、
そのための準備は何か、
今眼の前にぶら下がっている事柄は、
ほんとうに自分にとって有意義なことなのか、
あるいは放っておくべきことなのか、
そんな静かな省みる時間を与えてくれるのが、
グラシアンさんなのだ。

(2013-11-29 SNS日記より)
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