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早撃ちガンマンがどうしても撃てない [脳]

むかし不思議な世界を紹介する番組があって、いまだに印象に残っている技が紹介されていました。

それは早撃ちのガンマンが登場して、目の前にいる武術家を撃つという企画です。
ガンマンと武術家は至近距離で向かい合います。好きなタイミングで早撃ちガンマンは
撃っていいのですが、何度試みても武術家を撃てません。
正確に言えば、撃つどころかガンホルダーから、銃を抜く動作すらできません。
抜こうとすると武術家が、その手を抑えこんでしまうからです。

早撃ちガンマンは、0.2秒ほどで銃を抜き撃つことができるようです。
武術家はガンマンの手が銃に伸びた瞬間をとらえ、次の行動を起こすはずです。
人間の目で認識した内容を脳に伝える時間、それから銃を制止する動作を
起こす時間を加算すると、0.2秒程度はかかるのではないでしょうか。

ちなみに、100mの短距離走では、スタートの合図より0.1秒以下の体の動きは、
フライング、つまり山を張ってスタートしたとみなされます。
人間の反応として0.2秒程度の時間を要するということでしょう。

ガンマンが手を動かし始めて弾を撃つ0.2秒位の時刻に、ようやく武術家は
それを止めようと手を伸ばすというのが、ふつう考えるストーリです。
ところがガンマンは銃をホルダーから抜けません。
ガンマンより早く制止動作を行っているということです。

その番組では、実験後にガンマンに尋ねていました。なぜ撃てないのですか、と。
するとガンマンの答えは、ちょっと意外なものでした。
撃とうと思った瞬間に、何かがわっとやってきて動作を止められてしまう。
とうてい撃てる感じがしない、と。

似た話は別のことでも聞いたことがあります。
居合道の名人に、素人さんが襲いかかるという設定で、襲撃を試すのです。
結果は、襲撃の瞬間に名人は気合の声を発して、襲撃者は腰砕けになってしまうのです。
立っていられなくてしゃがみ込んでしまうのですね。
見た印象では、襲撃者の意思を打ち砕くという風に見えます。

武術家の達人たちは、どうも銃撃や襲撃が行われるその意思が発生した瞬間に、
反撃動作を開始しています。そうしないと間に合いません。
この推論は、前日記で紹介したリベットの実験結果と符合します。
意識に上るより0.3秒位前に、無意識な行動がスタートしていることが
脳の電位変化からわかったわけですが、まさにこの無意識の領域を
使っているということです。

武術家を襲うということがいかに難しいことかわかりますが、
殺気を感じるというのも相手の意思が生まれていることを検知したのかもしれません。

無意識の領域の行動を鍛錬し、自然な動きを実現するところに武道の奥義が
あるのだと思われますが、じつに深いものです。
また意識の作用しない領域のなかで、どのようなやり取りを
瞬時に行っているのか興味深いところです。


(SNS日記より 2016年8月24日)
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