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プラスの足し算 その2 [宗教]

生きているだけで丸儲け、とはさんまさんの言葉です。
この他にも、さんまさんは意外にも(?)いい言葉をいろいろと口にされています。
生きているだけで儲けものという感覚は、とても深いと思います。

この世で生きていくために、たくさんの苦労ばかりします。
苦労続きの人生といっていいです。
給料が減ったとか、能力が低くて職場で差別される、
そしていじめられる、家族関係がギクシャクして冷たい・・・
イヤなことばかりが起きる人生で、いいことなんかひとつもありゃしない、
と思うのも当然ですね。

そんな不満を胸に秘めたある男の1ヶ月間の思いを、
ちょっと物語風に描いてみました。

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ある日、男のもとに健康診断の結果が届き、
すぐ精密検査が必要だということになった。
後日、重大な病気が疑われて、結果はなんと余命3ヶ月
、回復の見込みは薄いと医師から告げられた。
人生で悪いこと続きなのに、泣き面に蜂、今度はとどめを刺されたようなもの。

いのちに関わる一大事となり、仕事どころじゃない。とりあえず入院して、
検査しながら様子を見ていくことに。
これからの行く末を考え込んでしまうと、夜も寝られない。
寝付こうとしても暗い部屋の天井を眺めては、死ぬことの恐怖が襲ってくる。
死はやはり怖ろしい。それがもう直に、まちがいなくやってこようとしている。
まさにどん底をはいずるような、
あぶら汗が滲むような夜を送るはめに男は陥ったのだ。

まだ健康だった日々のことがらが脳裏に浮かぶ。
職場でいじめられていたといっても、殺されるわけじゃなく、
いのちは大丈夫と思っていたので、
今思うとそんな苦労は大したことはなかったな・・・

家内との関係が冷えてしまったけれど、死んじゃえば、
そんなケンカに何の意味があるんだろう?
思えば自分からはやく謝ってしまえばよかったのだ。
へんな意地を張ったばかりに、
スッカリこじれて修復もできないほどになってしまったな・・・

もっと健康に留意して、酒、タバコ、油っぽいものを控えていれば
よかったかもしれないな・・・家内が口をすっぱくして言っていたのだが、
そんなことを言われるのが、とても煩わしかった・・・

しかし、死の床にいる現在、健康だった日々が、なんと輝いていることだろう。
メシが旨くないとか、言い方が気に入らないとかケンカしていた頃の毎日が、
なんと貴重で大切な日々であったことだろう。
よくない事柄が、みんな懐かしい思い出になってしまっている・・・

死に向かって着実に落ちていく自分には、
そんな日常がとても尊く感じられるのに、
もう手の届かない世界になってしまった。
生きてさえいられれば、ちいさい苦労なんか一体何だというのだろう。
いのちあってものものダネだ、という言葉の意味はこのことか・・・

日々の面白くない出来事に不平不満タラタラで、
なんてオレはツイテいないんだと嘆くばかりだったのに、
その日々が輝いて見えている!
不幸だと思っていた日常が、とんでもなく幸せなオーラに包まれて見える。
なんということだろう。もういちど生きたい、やり直したい・・・
この気分は、懺悔した死刑囚と同じ心境なのだろうな。

そんな後悔の日を送りつつ、再検査を繰り返しているうちに、
とんでもない知らせが男にもたらされた。
大病だという見立てはどうも誤診らしいということが判ってきたのだ。
やがてそれは誤診だったということになった。

輝ける日々の世界に男はとつぜん舞い戻った。
ジェットコースターのように激しい上下運動に翻弄された1ヶ月間だったが、
最終的には息を吹き返したのだ。

そのときの死のどん底から、輝ける平凡な日常へと上昇する飛行感覚。
もとの世界に浮上した距離感覚。
元へ戻れるのだと思う高揚した気持ちこそ、
与えられた人生がプラスだという証明なのだと身にしみてわかった。
そのプラスは、まさに贈り物だったということも。

(2014-03-22 SNS日記より)
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