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ヨブ記を読む [キリスト教]

まったく正しい信仰をもつ義人ヨブが、
いわれのない災難に次々と遭遇して、
自らの運命を呪うというストーリのヨブ記。
じつは、若いころからヨブという名前や、概要は
聞いたことはあるものの、しっかりと自分で
読んだことがなかった。

何の因果かヨブ記のメッセージとは何なのだろうという
気持ちから、今月のはじめころから少しづつ読んでは
メモを残して、ようやくヨブ記42章を読了した。
全体を振り返り、信仰とは何なのか、人間とは何なのかを
深く問いかけている書だった。

完全なる信仰をもっている忠実な神のしもべの
ヨブを、サタンが試してみようと提案するところから
話は始まる。

サタンの提案の意図は、神のしもべのヨブの生き方への
疑惑に端を発する。つまり何不自由なく繁栄している
ヨブ一族だからこそ、なんの不満なく忠実な信仰者の
姿でいられる。しかしその身に不幸が襲ったら、
きっと神を呪うだろうと。

さっそくその試みは実行され、家族や財産やもろもろの
ヨブの所有物が奪われてしまう。
このときのヨブの言葉は、
「わたしは裸で母の胎より出た。
また裸でかしこに帰ろう。
主が与え、主が取られたのだ。
主のみ名はほむべきかな。」
と神に向かって愚かなことは言わなかった。

そこでふたたび神とサタンの密議が行われる。
サタンの次なる提案は、ヨブの骨と肉を奪えば、
かならず神を呪うに違いないというもの。
そこで命だけは奪わないが、足の裏から頭の頂まで
いやな腫れ物で覆い尽くすという試練を与えた。

友人がやってきて遠巻きに眺めているなかで、
ヨブは七日七夜苦しみの中で言葉を発しなかった。
そしてついにヨブは、口を開く。
私の生まれた日は滅びよ、などの言葉を発する。
なにゆえ、わたしは胎から出て、死ななかったのか。
腹から出たとき息が絶えなかったのか。

こののた打ち回るヨブに対して、3人の友人が
次々といさめる言葉や非難する言葉などを
投げかける。
この部分は、とても長くて冗長に感じる。3人の友人が
入れかわり立ち代りヨブとの討論を行うのだが、それが
第4章から31章まで続く。
やがて3人の友人は語ることがなくなって
(ヨブに論破されて)押し黙ってしまう。

ここまでの友人の議論の論点はこうである。
ヨブが不信の徒となり悪に身をゆだねたのだと言う非難。
またヨブを裁く行為である。
これに対してヨブの主張は、私には落ち度がないのに
災難に遭っている。その理由を神に問いたい。
何ゆえ自分をこのような災難の目に遭わすのか。
自分は死ぬまで潔白の身であって、光を望んだのに
闇がきた。自分には落ち度はないのに、
苦しみにさいなまれて、さらに自分より若い者に
あざ笑われている。

3人の友人が黙ってしまったあとに、若い者が
やってきてヨブへの非難を始める。
これが32章から37章まで続く。
(正直、冗長である!)

そのあとにつむじ風の中から、神がヨブに向かって
言葉を発する。
神のはかりごとを暗くするものは誰か。
わたしが地の礎を据えたときに、お前は(ヨブ)は
どこにいたか。
あなたは海の源に行ったことがあるか、
淵の底を歩いたことがあるか。
雪の倉にはいったことがあるか、
ひょうの倉を見たことがあるか・・・
わたしはこれが全身と、その著しい力と、
その美しい構造について
黙っていることはできない。

(つまり自分の力の強大さや、
技の美しさ、壮大さをヨブに向かって自慢している。)

地の上にはこれに並ぶものなく
これは恐れない者に造られた。
これはすべての高き者をさげすみ、
すべての誇り高ぶる者の王である。

最後にヨブから神に対して次の言葉が発せられる。
「あなたはすべての事をなすことができ、
いかなるおぼしめしでも、
あなたにできないことはないことを。」

「わたしはあなたの事を耳で聞いていましたが、
今はわたしの目であなたを拝見します」

このあとに神は3人の友人に対して
怒っていること、しもべのヨブのように
わたしについて正しい事を語らなかったと裁定する。

またヨブに関してはふたたび繁栄を与え、
140歳になるまで生きたと記述されている。

以上がストーリの要約版であるが、
重要なのはヨブの最後の言葉であろう。
「わたしはあなたの事を耳で聞いていましたが、
今はわたしの目であなたを拝見します」

つまり耳で聞き、人から学び、敬虔であることはできる。
神を知っていること、頭で理解し、信仰者であると
自分を認め行動すること、これは可能だ。
しかし神を見る経験は別だということだろう。

神を信じますという言葉は、容易に誰でも
発することができる。だが、その内実は天と地ほど
開きがある。理解と会得とはまったく別物である。

(2015-09-26 SNS日記より)

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